やえまり                  
八重鋺の発見・1
ヤエマリ(日本語)
ドニパトロ(サンスクリット語)
ダプカ(チベット語)
シンギングボウル(英語)

法隆寺宝物館所蔵 八重鋺
素人の思い込み?

私は10年前より「ネパール・チベット・インド」の文化を研究し、
「ネパールの祈祷師ツアー」を企画し何度も実践してきました。

その興味が高じて4年前には高野山において修行をし、
真言宗阿闍梨として、「宗峰」という僧名を拝命させていただきました。

密教が今でも残っているところは日本とチベットだけです。
チベット密教の研究は、密教法具であるドニパトロに出会うことになったのです。

2004年10月人気テレビ番組・ウルルン滞在記において、ネパールで野良仕事をした塩山みさこさんは、
疲労を癒すため現地のドニパトロ(シンギングボウル)・ヒーリングを体験しました。
そのドニパトロ・ヒーリングを日本のスタジオで実演するために、
私に声がかかりました。
番組では俳優の石坂浩二さんをヒーリング(真似事ですが)をしました。

その私が今年3月に東京国立博物館・本館(上野)で、八重鋺を見たときには
日本にもネパールのシンギングボウルがあったのかと驚きました。

そして7月に国立博物館内の法隆寺館を訪れ、親しくお話しをさせていただき、
参考資料も頂けました。
そのとき以来、1200年間使用法が不明であった八重鋺の謎を追う旅に出たのでした。

そして先日、ネパールの工場やヒーリングの現状を調査し、
八重鋺が癒しに使用されていたとの確信を得ました。

素朴な疑問

なぜ八重鋺の材料は響銅(さはり)で作られているのでしょう?
響銅は現在でもおリンの材料として使用されています。

響銅は銅・スズ・鉛・(銀)の合金ですが、なぜ青銅(銅・スズ)や真鍮(銅・亜鉛)で
作られなかったのでしょうか?

佐波理(さはり)は響銅と漢字で明記されている以上、音を鳴らしたのではないでしょうか?
もちろんモノ要れとして使用したのならば、木製にしなかったのはなぜなのでしょうか?

シンギングボウル=歌うお椀

シンギングボウルとはドニパトロと呼び、チベットの人々の食器入れです。
ところが彼らが病気になると、腹や胸の痛いところに乗せ、音を響かせながら、
口でマントラを唱えると痛みが取れる(病気が去っていく)という信仰があります。

チベットのお寺ではシンギングボウルの縁を擦り、
不思議な音を出すことにより病が癒されると考えていました。
これを知った欧米人が、ドニパトロをヒーリングの道具として開発しました。

横たわった身体の周辺にボウルを置き、スティックで叩いて波動と音を伝えると
脳波がβ波からα波やθ波に変化して、瞑想状態に導かれることに気付きました。
このような状態は、単にリラックスするだけでなく、
奇跡的な治癒が生じるときもあるのです。

現在、アメリカでは古代のボウルにヒントを得て、
クリスタルでシンギングボウルが作られています。

また原型の金属製のシンギングボウルも癒しの音楽を奏でる商品として、
ネパールから世界中に出荷され始めています。

呪術的側面・音による癒し

歴史の呪術的側面から見ると、弘法大師空海は「声字実相義」において
以下のように述べています。

五大にみな響きあり
十界に言語を具す
六塵ことごとく文字なり
法身はこれ実相なり
モノを構成する五種類の要素にはみな響きがある
十種の世界にはおのおのに言語が備わっている
六種の対象はことごとくが文字である
法身とは真実そのものの姿である
                    訳文・福田亮成

このような原則を元に、真言宗ではお経や真言(マントラ・聖音)を唱えると、
その波動が身体の波動に共鳴し、自然治癒力を失った機能が回復し
病が癒されると考えています。

そのような思考法は、古代文化の残る世界各地に見受けられ、
多くのシャーマンが楽器の音と共に聖なる音を唱えると病が癒されると信じています。

その楽器は、あるときは太鼓であり、あるときはシンバルであり、
あるときはシンギングボウルだったのではないでしょうか?

古代の音楽は、雅楽に見られるように、楽しみとしての音楽ではなく、
神降ろしの音楽であり、神との交流を目的としたものです。
古代の人は、神は妙なる音と共に降りてくると信じていました。