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ケーブルカーで5分。ほどなく高野山駅へと到着した。ますます寒い!
携帯電話の電波が入らない。・・・・さすが高野山。俗世とは縁を切らせるのか。
駅の公衆電話から到着した旨を小林阿闍梨にご連絡させて頂く。
「大門行きのバス」で常喜院へ向かう事に・・・・って、大門行きのバスは私の目の前を走って行ってしまった。
・・・まぁ、仕方ない。と、人がいないバス停へ向かって歩いていると、
通り掛かりのバスの運転手さんが声を掛けて下さった。
「奥の院行きのバスでよかったら臨時便をだしてあげるから待っときなさい。」
仏の地で働かれる人はなんて優しいのでしょうか。
ほどなく私は無事にバスへと乗車することができた。感謝の気持ちでいっぱいになる。
雪が残るくねくねの山道を上手に走る臨時貸し切りバス。静かな車内。
私は誰にも遠慮なく高野山の胎内へ深く沈んでいく。再び脳内麻薬が分泌される。
ニルヴァーナの境地だぁ・・・・。
しかし、そうニルヴァーナに浸る時間もなく10分程で
運転手さんに教えて頂いた千手院前の停留所に到着。下車。
小林阿闍梨に電話をさせて頂く。・・・・ここまで来ると携帯電話もしっかりと通じる。
ちょっと残念。やはり下界とはしっかり繋がっている。
小林阿闍梨はすぐ側にいらっしゃるとの事。前を見ると優しい笑顔で手を振って下さっている。
ご一緒に近くの本屋さんへ向かった。
さすが高野山。真言宗、高野山についてのマニアックな本がたくさん揃えられていた。
そこに数人の方がいらっしゃった。銀の髪が素敵な外国の方、聡明そうな青年、
ハンチングがお洒落な男性にそのパートナーとみられる素敵な女性。
男性3人が今回ご一緒に得度するご縁深い胴胎の兄弟の方々だった。
「初めまして。」と・・・挨拶もそこそこに「兄弟の方々」は私よりもはるかに魅力的な
マニアックな本の方に戻っていかれた・・・。さすがだわ。
とりあえず今回の得度ともに宿坊としてもお世話になる常喜院へ歩いて向かう。
皆さん、親しげにお話をされている。「全員、今日初めてお会いした方ばかりの様ですよ。」
と、後に合流して気後れしている私に、祥徳さんの奥様が話しかけて下さった。
・・・・えっ〜!?初対面。信じられない。
でも、得度という目的の為に集まった方々。志が同じなら精神的なステージも同じ。納得。
私もスグに打ち解けさせて頂いた。
その中でも同じ女性同士、祥徳さんの奥様のお気使いは私にとって大変在り難いものだった。
得度はお受けされない様ですが、魂のステージは高いところにいらっしゃる方だった。
「得度をしなければいけない私」と違い既に祥徳さんの奥様は仏の子だった。
仏性を感じさせる優しいお方。お陰様で楽しい夜(?)を過す事ができた。
常喜院のあの寒さと奥様の優しさは忘れられない。
常喜院到着。広い寺内。泊まる部屋へと通された。
テレビなどは無いが温泉旅館を思わせる立派な部屋。品のよいコタツが置いてある。
ここはまだ冬。宮崎では見ることのない大きなストーブに火が灯っていた。
暖かい部屋。お寺のお気遣いに感謝。
しかし、暖まる時間もなく、祥徳さんのベンツをタクシー代わりに
僧衣を和装屋さんに受け取りに行かせて頂いた。
最初から最後まで大変お世話になった祥徳さんのベンツ。ガソリンが高値を記録する最近。
どうもありがとうございました。
参考まで・・・
得度費用:50,000円。
僧衣一式:白衣(白衣ベルト)、黄色い袈裟、黒僧衣、足袋一式。
女性 〜40,000円程。男性 〜50,000円程。サイズにより価格が変わるようです。
4時、常喜院隣の高野山大師教会で到着しているメンバーで受戒を受けた。
なんとワンコインで受けられるという。有り難く頂いた「菩薩十善戒」。
「儀式が始まりましたら、途中お堂内より出ることができません。」と説明を受け扉が閉ざされた。
灯りといえばロウソク2本。暗闇に緊張が走る。そして厳かに始まった受戒。
十箇条の戒めと在り難い法話を頂いた。
そう、有り難く頂いたのですが・・・・30分の正座。
終る頃には参加者の足はしっかり麻痺をしており、
小林阿闍梨とアメリカ人の鷲峰さん以外はスグに歩くことができなかった。
その光景も楽しい思い出になった。
曇り空、時に射す日も西に傾いた高野山。
受戒の後、皆で壇場伽藍を中門から東塔まで真言を唱えながら巡った。
ここが高野山だから不思議ではないが、一列に並んで真言を唱える一行。
外国人、まだ若い青年、お洒落でダンディーなナイスミドル、そして茶髪の私等々の集団。
別の場所だったら奇妙な目で見られるのは間違いない(笑)。
全員が数々の真言を唱える事ができる。
真言宗の得度を受ける者としては当たり前かもしれないが、宮崎での私の生活においては、
真言を唱える人は主人以外に見た事がなかった。さすがだ。
雪が所々に積もっている壇場伽藍。
壇場伽藍巡りが終わりに差し掛かる頃には、手の指も足の指も寒さでかじかんでいた。
約40分。無事終了。その後は、沈む寸前、橙色に変わった太陽。
暖かい光は射すが夜に向かい気温は急降下。散策も打ち切り。
それぞれの打ち解け話で盛り上がりながら常喜院へ戻った。
6時、最後の得度メンバー法蓮さんが到着され全員で美味しい夕食を頂いた。
常喜院のお気使いもあり般若湯もご準備されていた。
しかし、参加される男性の方はほとんど召し上がれず、
小林阿闍梨、私、祥徳さんの奥様、法蓮華さんの4人で、泡般若湯、般若湯を
全て飲み干してしまった。
しかし、酔いが足りない私と祥徳さんの奥様。
いつか機会があったらゆっくり飲みたいですね。
夜は小林阿闍梨の楽しくて好奇心をそそられるお話に耳を傾けさせて頂いた。
それでもまるで修学旅行気分。布団を敷き詰めた部屋で夜も更けていった。
解散後も喫煙部屋と化した女性の部屋では深夜まで話が及んだ。
・・・・人がいればその数の人生がある。生れ落ちたその日から死に向かって歩く。
スタートとゴールは一緒でもその道程は人それぞれ。当たり前だ。
しかし、何故得度か。
その明確な理由説明は出来ない。
ただ・・・何故かこの世界が生まれた時から私の中の宇宙にあったらか。
それにしても緊張感がまるで無しの楽しい得度前日の夜だった。忘れられない夜。
今回得度式に臨む面々は、「まさにマンダラ。これこそマンダラ」と小林阿闍梨に言わしめた5人のメンバー。
その同胎兄弟をご紹介させて頂くと、まずアメリカ人の鷲峰さん。
日本での生活が長いせいか誰よりも日本的な感覚をもっていらっしゃる銀の髪が素敵なおじ様。
おしゃれでダンディー、ホレボレするお声で真言、お経を唱えられるコレクター祥徳さん。
証明人としてご参加の奥様は、既に仏心をお持ちの楽しくて素敵な女性。
仲睦ましいご夫婦。
人生、波乱万丈(そう勝手に思っている。)、現職のお坊さんと間違えてしまう風貌で現れた
強烈な印象の元金髪の法蓮さん。
そして、22歳で得度する隆峰さん。お若くてびっくりだがきちんと理由が語れる。
若いっていいですね。
そしてぽぉ〜っとして仏門には程遠いと思われる茶髪の私。
統一がない様に見える面々ですが、全員が昔なじみの友の様な雰囲気。
緊張よりもリラックス。昨日までは見知らぬ他人とは思えない。
これこそ仏縁。確かなご縁。
そんな素敵なマンダラの方々とご一緒できた事は、私の人生において忘れられない出来事となった。
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