シンボリズムによる伝授・2

秘蔵宝鑰


四生の盲者は、盲なることを覚らず。
生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く、
死に死に死に死んで、死の終わりに冥し。
訳:

眼の見えないものにも等しい生きとし生けるものである我々は、

自分の眼が見えない者であることに気づかない。
我々は何度も繰り返す人生の、初めから終わりまで、暗く、冥(くら)い。
十住心論


1)異生・羝羊心

無知な者は迷って、わが迷いを覚っていない。

雄羊のように、ただ性と食とを思い続けるだけだ。

2)愚童・持斎心

他の縁によって、たちまちに節食を思う。

他のものに与える心が芽生えるのは、穀物が撒かれて発芽するようなものである。

3)嬰童・無畏心

天上の世界に生まれて、しばらく復活することが出来る。

それは幼子や子牛が母に従うようなもので、一時的な安らぎに過ぎない。

4)唯蘊・無我心

ただ物のみが実在することを知って、個体存在の実在を否定する。

教えを聞いて覚るものの説は、すべてこのようなものである。

5)抜業・因種心

一切は因縁なることを体得して、無知の元を取り除く。

このようにして迷いの世界を除いて、ただ一人覚りの世界を得る。

6)他縁・大乗心

一切衆生に対して愛の心を起す。

大いなる慈愛が始めて生じる。

すべてのものを幻影と観じて、ただ心の働きのみが実在であるとする。

7)覚心・不生心

あらゆる現象の実在を否定することによって、実在に対する迷妄を断ち切り、

ひたすら空を観ずれば、

心は静まってなんらの姿なく安楽である。

8)如実・一道心

現象はわけへだてなく清浄であって、認識における主観も客観も共に合一している。

そのような心の本性を知るものを称して、仏〈報身としての大日如来〉というのである。

9)極無・自性心

水にはそれ自体の定まった性質はない。

風にあって波が立つだけである。

さとりの世界はこの段階が究極ではないという戒めによってさらに進む。

10)秘密・荘厳心

密教以外の一般仏教は塵を払うだけで、真言密教は蔵の扉を開く。

そこで蔵の中の宝は、たちまちに現れて、あらゆる価値が実現されるのである。

                                                      



即身成仏義
問うていわく「諸経論の中に、みな三劫成仏と説く。今、即身成仏の義を建立する。何の証拠があるか?」
答ふ「秘密蔵の中に、如来かくのごとく説きたもう」。
質問「かの経説いかん?」
答ふ「金剛頂経に説かん。『この三昧を修する者は、 現に仏・菩提を証ず。
           〈この三昧とは大日如来の一字金輪仏頂王の三昧なり。〉」
訳:
質問:「三劫(10万年×三)の長い修行をしないと覚れないというのが多くの教えなのに、なぜ即身成仏を説くのか?証拠はあるのか?」
答え:「密教経典の中に、仏がそのように説いておられる。」
質問:「どの経によるのだ?」
答え:「金剛頂経に書いてある。この三昧を実修すれば、現に覚りを体得す。
    〈ボロンの一字で現される、人中最高の金輪王としてあらわれた、大日如来の精神統一の境地〉」


 

金輪仏頂王真言:「のうまく・さまんだ・ぼだなん・ぼろん」

「即身」とは?「成仏」とは?


頌にいわく。

1)六大無碍にして、常に瑜伽なり。

2)四種曼荼、おのおの離れず。

3)三密、加持すれば速疾に顕わる。

4)重々、帝網なるを、即身と名づく。

5)法然に、薩・般若を具足して、

6)心数心王、刹塵に過ぎたり。

7)各五智、無際智を具す。

8)円鏡力のゆえに、実覚智なり。

訳:

1)宇宙の命の六大(地水火風空+意識=物質と精神)は、永遠に結びつきあい溶け合っている。

2)四種類の曼荼羅は、それぞれの真実相を表し、そのままに離れることはない。

3)仏とわれわれとの三密が、不思議な働きによって、応じあうとき、速やかに覚りの世界が現れる。

4)あらゆる身体が、帝釈天世界の網の玉のように照りあうのを、名付けて「即身」という。

5)あらゆるものは、あるがままに測り知れないほど多くの、仏の姿をしていて、薩般若をそなえている。

6)すべての人々おのおのに、心数、心王が備わっていて、数限りなく存在する。

7)心数、心王それぞれに、五智と際限もない智慧が備わっていて、欠けることがない。

8)その智慧をもって、すべてを明らかな鏡のように照らすとき、真理に目覚めた智者となる。

        


六大無碍・常・瑜伽


すべての構成要素(五大=地水火風空+意識)は、いつでも瑜伽(ユガ(ヨガ)=溶け合っている=分けられない)している。

(空海はこの五大(five elements)を、各チャクラに対比させ、チャクラの覚醒により、覚りがひらけると語っています。

 真言密教は六大瑜伽=ヨガ行なのです。)

『大日経』にいうところの

「われ本不生(ほんぶしょう)を覚り、語言の道を出過し、諸過・解脱することを得。因縁を遠離せり。空は虚空に等しと知る。

 種子・真言にいわく「阿・縛・羅・訶・イ去・鑁」

「ア・バ・ラ・カ・キャ・バン」

いはく、阿(ア)字・諸法・本不生の義とは、すなわちこれ地大なり。

縛(バ)字、離言説とはこれすなわち水大なり。

清浄・無垢・塵とはこれすなわち羅(ラ)字・火大なり。

因業・不可得とは訶(カ)字門・風大なり。

等・虚空とはイ去(キャ)字の字相、すなわち空大なり。

我覚(バン)とは識大なり。因位には識と名づけ、果位には智という。

1)阿(ア):宇宙の万物がもともと存在していて、新たに生じたものでないことから大地の堅固なことに比べられるので「地」のシンボルとします。

2)縛(バ):宇宙の本体が通常の言語では表現し得ないことを現し、言語概念世界を清める力を水が持っているので縛字は「水」のシンボルとします。

3)羅(ラ):宇宙の本体がケガレのないことを象徴し、ケガレを焼き清める浄化力を「火」が持っているので、羅字は「火」のシンボルとなります。

4)訶(カ):宇宙の本体の原因と条件の把握しえぬことを象徴し、すべての原因や象徴を吹き払うことを風の力と考えて、訶は「風」シンボルとします。

5)イ去(キャ):宇宙の本体が虚空に等しいことを象徴し、宇宙の本体が偏在であり、妨げなく自由であることを象徴し、イ去字は「虚空」のシンボルとします。

6)鑁(バン):〈私は覚った〉というのは、精神の働きを示しているから識大をシンボルとします。


                                                                       





チャクラ


Chakras:
Energy Center of Transformation

チャクラ名 場所 エレメント 器官
ムラダーラ・チャクラ 会陰 四角形 シャン
スワディシュターナ・チャクラ 丹田 円形 バン
マニプーラ・チャクラ へそ 三角形 ダン
アナハタ・チャクラ  六芒星 カン
ヴィシュッダ・チャクラ 虚空 三日月 アン
アージュナ・チャクラ 六大 無形 ハン 未那識
サハスラーラ・チャクラ 頭頂 満月 すべて 阿頼耶識



ヴィシュッダ・チャクラ図
アージュナ・チャクラ図
サハスラーラチャクラ図