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ストゥーパの中央、天空より周辺の大地に向かって五色の旗が翻っている。
この五色の旗は、五大の要素を表すそれぞれの色で構成されている。
黄・緑・赤・白・青は地・水・火・風・空の要素を表しているのだ。

なぜ五大のメタファーを使うのだろう?
仏教の中心論理は、生きる・死ぬ(生・滅)、きれい・汚い(浄・不浄)、増える・減る(増・減)
などの二元論を否定することにある。
言語(ロゴス)は二元論を導き出し、二元論は別けられないものを分けて思考し、
世界をバラバラのものであると仮想させてしまう。
一粒の米は畑、雨、太陽、風、空気そして農民の作業エネルギーがなくしては存在しない。
しかし、ひとたび「一粒の米」とコトバに出してしまうことによって、
「バラバラな言語概念世界」の中で小さな存在として評価されてしまうのだ。
真実の世界はすべてのものがつながりあった、一如(ワンネス)の世界であり、
相互に依存した縁によって生起した、「縁起の世界」なのだ。
その世界ではすべてのものに意味があり、相互にかかわりあっていると気付けるのだ。
その縁起の世界を認識するため、わきあがってくるイメージを否定し続けると、
残った部分に「空」が生じるのだ。
このヴェーダンタ哲学の仏教論理は、一見するとカオスを生み出しがちだ。
それを避けるために仏教が時間をかけて生み出した思想が、
密教の「五大メタファー」なのだ。
世界は粗大な世界(地)から微細な世界(空)までの五大のあいまいな連続体であり、
人体も同じ構造(梵我一如)をしているのだ。
錬金術ではこれを「上にあるものは下にあるものの如し」と呼んでいる。
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