資本主義以後の世界

中谷巌


資本主義は産業革命以来、人類に多大な経済発展をもたらした。
しかしその資本主義が「ユーロ危機」「原発問題」などを通して多くの困難を発生させている。

グローバル化した資本主義は、低下した経済成長率を引き上げようと過大な財政支出を繰り返し、
その累積した国家債務が世界中に危機をもたらしている。

対策として多くの国が一斉に緊縮財政に向かえば、景気は当分の間悪化せざるを得ない。
ウォール・ストリートを占拠した「99%対1%デモ」のような、富裕層批判のデモは世界中でこれからも続くだろう。

このようなグローバル資本主義の危機を克服するには、究極的には「文明の転換」が不可否であろう。

グローバルな競争激化が産み出す出す富の偏在を是正するには、市場での取引きから実現する資源配分のみを「正義」とみなす「交換の思想」から、
人類が昔から持っていた「贈与の思想」への転換が必要になる。


また、技術によって解決できるとする「過剰な技術信仰」や「自然は人間が管理すべきもの」とする西洋的な自然観を改め、
人間が自然の恵みに対し「敬虔かつ謙虚」な気持ちを持つという「自然観の転換」をしない限り、
地球環境破壊はとどまるとこをしらず、「原子力」のような制御不可能な技術に振り回されることになるだろう。

現実主義者には「文明論的なスケール」を非現実的と考えるが、今日の資本主義世界の閉塞観を考えれば、
いずれ「文明の転換」が必要になることは間違いない。

 
『資本主義以降の世界』徳間書店

(中谷巌:三菱UFJリサーチ&コンサルティング理事長)より抜粋 





中谷巌さんは細川内閣、小渕内閣、小泉内閣のときに学識者として、政治にかかわってきた方です。
ソニー取締役会・議長やオーストラリア国立大学名誉法学博士などの肩書きのある彼は、
2008年「資本主義はなぜ自壊したか」を表し、それまで彼が推進してきたグローバル民主主義に決別しました。

そして、自らの歴史、文化、伝統を忘れたら生き残れないと語り始めました。


ドイツはユーロ危機を救えるか?


日本政府は、東京で稼いだ人の金を税金として集め、北海道や東北に資本投下します。

誰も文句をいいませんよね?
それは同じ国民で、田舎が豊かになることは、地方の年老いた父母が喜ぶことだと感じるからです。

でも、ドイツ人が稼いだ金に税金をかけ、ギリシャに資本投下したとしたら、
ドイツ人のあなたは認められるでしょうか?

ユーロ経済圏の問題がここにあります。
だからユーロ危機は、イタリアやスペインをも巻き込みこれからも続くのです。


海賊からスタートした大英帝国


ネパールの友人に、イギリスは怖い、アメリカは嫌いだ、日本大好きといわれたことがあります。

「これは日本人は何も知らずに援助してくれる。」という意味なのです。

イギリス人はインドを支配し、ネパールにも手を出しましたが、彼らの抵抗が強いので植民地化を止め、
ネパールをインドの属国にしました。
イギリス軍の陸軍の下部はネパールのグルカ兵なのです。

三角貿易・・・イギリスを出た船は「繊維製品・ラム酒・武器」を西アフリカに輸出する。
そこで積み込んだ「黒人奴隷」をアメリカに運ぶ。
そして「綿花や砂糖」をイギリスに運ぶ。

イギリスが産業革命を世界に先駆けて成功させた理由は
スペイン船から海賊行為によって得た金銀財宝と、三角貿易によって得た利益と
アメリカのプランテーションの安い原材料なのです。

またイギリスはアヘンを絡めた三角貿易を中国相手に始めました。
イギリスから「綿製品」をインドに運ぶ。
インドのアヘンを中国に密輸し、銀を獲得する。
陶磁器やお茶を購入しイギリスに戻る。

中国の清王朝はアヘンを没収、イギリスは「国際法違反だ」として軍艦を天津に差し向けアヘン戦争が始まるのです。
香港は百年間イギリスの支配下におかれました。

西洋が、非西洋諸国を支配した歴史は、彼らから説明することはありません。
秘密になっているのです。

私はネイティブ・アメリカンのセコイヤ・トルーブラッドに会ったとき、歴史の真実に気づきました。
私たち日本人は、西洋人の歴史観に刷り込まれているのです。


年次改革要望書に屈した日本の20年


1989年「系列をはじめ、株式持合い、メインバンクシステムなどの日本の商習慣を壊せ」として「日米構造協議」は始まりました。
1994年からは名前を変えて「年次改革要望書」となります。明らかな内政干渉なのです。

アメリカの要望を拒絶できない日本は、あたかもそれが日本の主体的な意思にもとづくものとして見せかける必要がありました。
アメリカの圧力とわかると「日本は属国か?」と反発されるので、マスコミの協力で事実を隠しました。

その一方で「改革しなければ世界においていかれる。」と構造改革が
日本政府のイニシアティブで推進されているかのように印象づけました。

2010年10月に菅前首相が急に言い出した「TPP」も、年次改革要望書に代わる要求なのです。
   
                   


タロットで解く、日米構造協議の物語


ウサギとサルがスフィンクスの下で一生懸命働いて輪を回しています。

スフィンクスは最初は一回りすると360円くれました。

それが時代とともに120円になったので、三回、廻らなければならなくなりました。
ついには1回廻して80円しかくれなくなりました。

昔より四倍働くことになるのですね!!


            


「文明の転換」のために、資本主義の道を遡り、過去の叡智=密教を探求しませんか?