錬金術と密教

ユング心理学のメガネをかけて
錬金術とユング

那須には読み終えた本が集まっています。

そこで整理のついでに久しぶりにユングの本を読んでいたら、
リスが庭に入ってきてポーズをとってくれました。


ちょうど開いていたページはユングがカウンセリングをしているところです。

その患者さんは夢で見たコガネムシの話しをしていました。
するとガラス窓に飛んできたコガネムシがぶつかる音がして、
二人とも顔を見合わせました。

患者さんはこの体験を通して、飛躍的に症状が改善したそうです。

「起こる出来事には意味がある。」

そのような態度で起きる出来事を解釈すると、現象が大きく変ります。

夢という体験も、起きる出来事のひとつです。

ネイティブ・アメリカンのメディシンマンはイーグルと話をしますが、
手塚治虫のアニメ「ブッダ」でも釈迦が動物たちと話していました。

この現象をユングはコンステレーション(布置)と名付けました。

星のひとつひとつには意味はないのだけれど、そこに意味を付与すると
「白鳥座」や「さそり座」が現れるのです。

私は神聖幾何学とユングのコンステレーション(布置)の考え方を統合して
「クリスタル・マンダラ占い」を発見したのです。

近代の科学は現象を自分と意味のないものとして認識し発展してきました。
しかしその科学的思考法が錬金術の試みを通して得られてきたものなのです。

錬金術は鉛を金に変えることを目指しながら、結局その試みは達成しませんでした。

しかしその発想や試行錯誤の過程が、ヨーロッパの科学的思考法発展の歴史となったのです。

そこでユングは彼の後半生を錬金術の研究に費やしました。

              *錬金術・占星術・タロットはカバラの三姉妹なのです。

錬金術のプロセスと心理療法の過程

容器に入れられた「プリマ・マテリア=第一物質」と触媒は、三段階で変化します。

1)ニグレド:黒化(黒くなること=深層心理との対話)

2)アルベード:白化(白くなること=原型:アーキテクトの出現)

3)ルベード:黄金化(光り輝く=対立するものの統合)

賢者の石に近づく変容の第三段階は、対立しあうものの統合であり、
これは神秘的結婚とか王と王妃によって象徴されます。

これは人間の心の中にある男性性と女性性や、物質と精神、論理と感情などの両極性にあるものを、
どのように分化させ統合するかというテーマなのです。

この分化と統合を視覚的に表現したものが、マンダラなのです。

マンダラの内部にはそれぞれ独立した神仏が描かれていながら、
全体としてまとまりのある世界が表現されているのです。

        

心が現実を作る:共時性

起こった現実の意味を読むという行為を通して、
コンステレーション(布置)ができる段階がアルベードになります。

密教タロットは、原型:アーキタイプという一枚一枚のカードを通して、カードの意味を解く訓練になるのです。

そして全体を観るために、意識を引いて、引いて・・観ると
バラバラであった世界観が実は統合されたつながったものであるという発見に到ります。

これを仏教では・・色即是空・・空化(個別性の奥にある普遍に対する気付き)すると説きます。

この思考的プロセスを通して獲得した意識が無分別智となるのです。

この無分別智の人が思うことによって起こる現象が、共時性です。

観察者として自己と他者を観るうちに、その境界があいまいとなり自他不二の境地に参入するのでしょう。
これこそが仏教での観自在菩薩の境地なのです。

ユング心理学者の河合隼雄先生は、お経を研究するだけで、そのような境地に参入したそうです。