御岳神社峰中修行 体験記
2006年6月3日〜4日

6月3日、あいにくの曇り空の中、東京都奥多摩にほど近い、青梅市にある御岳神社というところで
滝行や山駆けなどが体験できるという事で参加してきました。

以前から、滝行にはすごく興味があったのでとても意気込んでいました。
しかし、季節的に暖かくなってきているので、滝行が「行」ではなく、水浴びになってしまうのでは、
という心配がありましたが、幸か不幸か、この日の御岳山の気温は10度前後。

長袖のT-シャツの上にナイロンジャケットをはおってちょうど良いくらいの気温でしたので、
普段なら水を浴びるにはちょっと勇気がいるくらいでした。

やはり、「行」というからには最低これくらいでなくては、と少し肌寒いこの日の気温に感謝しつつ、
これから始まる初体験の峰中修行に胸を躍らせていました。

その日にお世話になる「うつぼや荘」に到着し、受付を済ませると、15〜6畳ある大広間に案内されました。
先に到着されている方々も何人かいましたが、当然全員見知らぬ顔。
その光景を目のあたりにすると、中学、高校時代の部活の合宿を思い出してしまい、
なぜだか妙に懐かしい気持ちになりました。

今晩はここで、このメンバーと一つ屋根の下過ごすのかと思うと不思議な気持ちになりつつ、
縁の意味の深さに想いふけっていました。


峰中修行は一日目から、昼の12時から夜の19時までと少しハード目に進んでいきました。
総勢27名の参加者。
これは13回の歴史の中でもっとも多い人数だとか。

このメンバーで宿舎を出発し、神社に向かいます。
この2日間を見守っていただく武蔵御岳神社にです。

300段の階段を登ると、赤く美しい作りで大きな鈴と立派なしめ縄が特徴の神社が目の前に見えてきます。
この日は、小雨もぱらつき、霧がかかっていたのでより一層、
神秘的なたたずまいで私たちを迎えてくれました。

東京都と名前は付いているものの、この神社の神聖感や周りに見える山 々の景色、
樹齢1000年と書かれた大きなけやきの大木、集落にいまだに残る瓦葺の屋根の家などを見ていると、
大きな高層ビルが立ち並ぶ都心のイメージとは信じられないくらいかけ離れた世界が
ここにはあることに驚かされました。

神社に入ると、神主さんからの挨拶や峰中修行についての説明の後、本殿にて奉告祭が行われました。
奉告祭では、御岳神社の神様に挨拶をし、2日間の無事をお祈りしました。

そのおかげで俄然やる気の出てきた私達は、いよいよ滝行に向かいます。


滝までは神社から約30分の山道をぬけなくてはなりません。
普段運動していない方には少しきついかもしれませんが、この道のりがあるおかげで利点がいくつかあります。

まずは、自然に触れることによる心のリラックス効果が得られます。
山はとてもいい空気を味わえますし、生き生きとした樹木からは光々とした緑があふれ、
目の疲れを癒してくれます。
鳥は歌を歌い、私たちの耳へと平和をささやいてくれます。

それから、上り下りの山道を歩いていると、だんだん体が温まってきます。
滝に着くころにはぽかぽかで着替えるのにさほど抵抗を感じないくらいでした。

久しぶりの山歩きだったのでとても新鮮で、
疲れるというよりはむしろ山からいいエネルギーをいただいたと言った方が正しいでしょう。

私たちは綾広の滝という所に到着すると、そこで行をしました。
周りは緑色のコケが趣を与えている大きな岩でかこまれ、滝の前には鳥居が建ち、
滝からのマイナスイオンでとてもよい波動が伝わってきました。

まさに神聖な場所だと思わさせる雰囲気が漂っています。
男性はふんどしにはちまき、女性は白い着物にはちまき姿にそれぞれ着替えを済ませ、
いよいよ行の始まりです。


私は、生まれて初めてのふんどしだったので付け方もわからないくらいでした。
初めてのふんどしは、自分が自分の生まれる以前の昔に戻ったような感覚ですごく不思議な気持ちになりました。

まさか、自分がふんどしをはく時がくるとは、少し前の自分でさえ想像していなかったです。
スースーする!

まずは滝に入る前に気を引き締め、波動を高める体操のようなことをします。
今回は神社という事で、日本古来の神道での滝行です。
仏教のようにマントラを唱えるような事は無いのですが、それに近い事をします。

神社の祭事部の方が前に立って大きな声で明治天皇が読まれたという歌を読み上げるので、
私たちも後から復唱します。
それと同時に舟をこぐような動作も付けて、腹から声を出します。

「あさ〜ゆう〜に〜〜!!!」「えいっ!!!さ〜〜ぁ!!!」
大声を出して舟をこぐ。
そんなイメージです。

私はたまたま通りかかった外国の方が不思議そうにこちらを見ているのも気にせず、
恥ずかしさも忘れておもいっきり楽しみました。
するとだんだんとテンションと体温が上がってくるのを感じます。

たぶんこれは、冷たい滝の水を感じさせないための作用をもたらしてくれるの
一種の準備運動のようなものでしょう。

それが終わると、ひとりひとり順番に滝に入ります。
ひとりだいたい10秒くらいずつで、好きなだけ何回でも入れます。

私の1回目は初めてだという事もあり、水の冷たさでわけがわからないうちに終わってしまいました。

「ひえ〜、つめたい。でも楽しい!」

不思議と少し体が軽くなった気がします。

2回目は入る直前から、なにかしら自分が今までに受けてきたであろう、
または自分も持っているであろう悪いモノ、例えば怒り、ねたみ、恨み、嫉妬などの邪念を思い浮かべ、
「俺はそんなものには絶対負けない!!」と頭の中で何度も唱えて、
最後に「ありがとう!!」と感謝して滝に入りました。

滝に入っている間は、これらがきれいに流れて自然に浄化されていくのをイメージしました。
これを2回繰り返しました。

すると、不思議と体が軽いのです。
たしかに寒いのですが、気分は晴れ晴れです。
自然と笑顔もこぼれてきました。

滝行が終わったあとの爽快感は忘れられないでしょう。

僕はサーフィンをやっているのですが、いい波に乗れて、いい気分であがってきた時を
彷彿させる感じでした。


その後、いい気分で神社に戻り、神道について知識を深める時間があり、夜19時過ぎには宿に戻りました。
そして19時半には精進料理の夕食をいただきました。

食前と食後には感謝を表した歌を詠み、食べられる事の喜びをかみしめる時間があったり、
食事中は正座でいなくてはならなかったり
(足の悪い人などの正座が無理な人には強要はしない。あくまでも、修行の一環としての建て前)と
普段とは少し違った雰囲気で、すごく食のありがたみというのを感じられました。

日本は特に裕福な国になったので、こういう当たり前の事を忘れてしまうことがあるので、
そのような言動を見直すのにはとても良い時間だと感じました。

食後は自由時間。
滝行のおかげで心が開かれたのか、部屋の人達とも自然と楽しく会話が出来ました。

たった半日一緒に過ごしただけなのに不思議です。
次の日が朝早いのもあり、久々に夜10時には床につきました。


2日目、5時起床。早寝早起きは気分爽快、体も元気があふれ出ます。
そのまま滝行に向かい、朝の新鮮な空気の中、山と滝のパワーをもらいます。
朝一の滝行もいいものです。

その後は宿舎に戻り、精進料理の朝食をいただきました。
そして荷物をまとめ、9時には山岳修行へ出発しました。

山岳修行といっても色々な世代の方々がいるので、どちらかというとハイキングに近いものでした。
約5時間、山を闊歩しました。

一応修行中なので山を歩いているときは、出来るだけ私語厳禁なのですが、逆にこれがよかった。
自然のよさをありのまま感じられるし、自分との会話もはずみました。
いい汗もかきました。
たくさん歩いて、お腹ペコペコの状態で高岩山の頂上で食べたおにぎりのおいしさは格別でした。


すべてが終了し、神社にて終わりの奉告祭をした後、峰中修行修了書をもらいました。

たったの2日でしたが、すごく充実感がありました。

山を駆けて汗を流し、滝に打たれ、大声を出し、体によいものだけをいただき、早寝早起きする、
たったのこれだけで心も体も生まれ変わったような感覚でした。

また、御岳山という普段とはまったく違う環境が非現実空間を創り出し、
より一層そういった感覚に拍車をかけたのだと思います。

お世話になった神主さんをはじめ地元の方々、一緒に峰中修行という時間を共有したすべての方々に
感謝の気持ちでいっぱいになりました。

都会のオアシスと言われるだけあって、地元に戻ってきたときに感じた御岳とのギャップは、
海外から日本へ帰ってきたかのようでした。


今回、このような貴重な体験をさせていただき、たくさんの学びや気づきをいただきました。

今後、1ヶ月に1回はこのような時間を設けようかと思っています。
五感が研ぎ澄まされた感があるので、常にこの状態でいれば今後の生活に良い影響を与えてくれると思います。

自然のありがたさ、人との繋がりの大切さを再確認できた、
大変充実した2日間を過ごす事ができた事に感謝します。

(by 阿久澤 真一)