お迎え人は幻影か?

     〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜東京新聞・こちら編集委員室(姫野忠)2013.8.20  より

お盆に帰ってきた死者の魂を、再びあの世へ送る「送り火」がすんだ。

祖母の死に際を母親から聞いたことを思い出す。

「大きい男の人が・・・」と言って他界した。
母親は自分の父親と信じた。
祖父は六尺男だった。  

               

 

臨終時に先に逝った人がお迎えに来るという話しは、日本ではごまんと聞くが、
欧米でもホスピス関係者らによって以前から知られていた現象という。

「デスベッド・ビジョン」と呼ばれ長年研究がなされてきた。
 
若くして臨済宗の管長に付いた対本宗訓老師(59)は、一転医学部に入りなおし、医師になった。
現在英国のロンドン大学などで「周・死期学」の研究を続けている。


対本医師によれば、此岸にある患者の意識は、肉体という物質レベルの世界を知覚しているが、
彼岸に向かう際、意識が肉体を去って次の段階に移っていく。

この時の体験が「デスベッド・ビジョン」だ。
この体験は此岸にいて看取るものには知覚出来ない。

人の心と身体は本来、苦痛なく安らかに旅立ち出来る仕組みが備わっており、
お迎え人が現れることで、恐怖が解消されるのではないかとみる。

従来科学の信奉者は、幻影に過ぎないと解釈するが、そう片付けてもいいものかと思いが年々募ってきた。

帰省して認知症の進む母親に、ベッド脇で父親の死を尋ねてみたが、
「そんなことあったのか?」と、表情を失ってきた母親は小さく笑うのだった。