オジブワ族の祈りの言葉
の密教的解釈

おお、グレートスピリット(大いなる霊)よ、

私は風の中にあなたの声を聞きます。

あなたの息吹は、万物に生命を授けています。

どうか私の言葉をお聞き届けください。


風は四大要素の一つです。

ネイティブ・アメリカンの聖なる儀式スウェット・ロッジでは
ドーム状のテントの中で、熱く燃えた石に水を掛け、蒸気をテント内に満たします。

石は地の要素、熱は火の要素、水は水の要素の表現です。
出てきた蒸気をおじいさんのコトバと呼んでいます。

あなたが生んだたくさんの子供の一人として、

わたしはあなたに心を向けているのです。

私はこんなに弱く・・・・こんなにも小さい・・・・

私にはあなたの叡智と力が必要です。


懺悔のコトバは、自分を生んだグレートスピリットに対してなされます。
神道では自身を分け御霊(わけみたま)と捉えます。

スウェット・ロッジは母親の胎内(胎蔵界)を意味し、
智慧と力は父親の要素(金剛界)を求めているのです。

どうか私が、美しいものの中を歩んでいけますように。

そして、赤と緋に燃える夕日の光を、

いつも目にすることが出来ますように。


夕日の光の象徴は、仏教では、西方浄土(夕日の落ちる西側)に住まわれている阿弥陀仏です。
語源アミターバとは無糧の光の意味なのです。

あなたが創り出したものを、

私の手がていねいに扱うことが出来ますように。

そしていつもあなたの声を聞き取っていられるように、

私の耳を研ぎ澄ませておいてください。



祈りと感謝の言葉は、グレートスピリットとコンタクトしようとしている意思から生まれます。
大地にたいする賛美は、それを作り出したグレートスピリットへの賛美です。

あなたが私たち人間に教え諭したすべてと、

一枚一枚の木の葉やひとつひとつの岩に、隠していった教えのすべてとを、

私が間違うことなく理解できますよう、どうか私を賢くしてください。


顕教とは、伝承され残された教えです。
でもそれ以外に、意識が向上しないと気付かない、密教的教えが
一枚一枚の葉や、ひとつひとつの岩の中に隠されているのです。

叡智を持って自らが考えると、葉の存在や岩の存在は、縁起によって生じていることに気付きます。
存在の意味を見出すことが出来るのです。

その縁を支配しているものを、彼らはグレートスピリットと呼ぶのです。

私に叡智と力をお授けください。

仲間たちに秀でるためではなく、

私の力をもって最大の敵を打ち倒すためにです。


最大の敵とは、叡智に欠けること。
仏教ではこれを無明と呼びます。

最初は苦しみを逃れるために入った救済の道(宗教)ですが、
そのままでいると、無明となるのです。

「信じるものは救われる」から「信じることは智慧の放棄につながる」に変容するべきなのです。
それが叡智の道です。

他者の言葉(教祖の言葉)で見えなくなっている自分に気付き、叡智を得ることで、
生きる力が出るのです。

汚れていない手とまっすぐな眼差しをもって、

私があなたの前に立つことが出来ますように。


昔の日本人はこの言葉を「良心に恥じないように」と言っていました。
最近はこの良心は何処へ行ってしまったのでしょう。

そのようであることが出来れば、私の命が、

夕日が消えかすんでいくようにして、この地上から消え去っていくとき、

私の魂はあなたのもとへ、堂々と立ち帰って行けることでしょう。


「帰命・ビルシャナ」と真言宗では根本経典・理趣経の最初に唱えます。
奈良・東大寺の大仏が宇宙仏・ビルシャナです。

私たちは宇宙から来て、宇宙意識に帰る命なのです。

この宇宙のことを、虚空蔵(アカシックレコード)、空(ボイド)、神霊(グレートスピリット)
などと呼んでいます。