映画:ロード・オブ・ウォー(死の商人)

ニコラス・ケイジ主演の「ロード・オブ・ウォー」を見ました。
彼の人物像は次の通りです。
出身地:ウクライナ 
家族:妻一・子一人 
職業:武器商人 
年間取引額:6000億円(推定) 
年収:88億円(推定) 
座右の銘:意思あれば武器あり。 
国籍:アメリカ
あらすじ

旧ソヴィエト連邦の崩壊により、膨大な数の武器がアフリカを始めとする開発途上国へ売り渡されました。
その金額は1982年からの10年間で、3兆2000億円以上と推定されています。

幼いころアメリカに移民してきた主役のユーリー(ニコラス・ケイジ)にとっては、
自由の国アメリカで一旗上げるためには、法の隙間を縫っての、違法な武器取引しかないと考えました。
この国にとって金は力なのです。

取り扱いの最初は米軍の放棄した三流品の武器でした。
情にもろい彼の弟は、アフリカの子供たちが彼らの販売した銃で殺害される様子を見て、心を動かされますが、
兄は「かかわるな!!」の一言でその場を離れます。

そのうちに彼の弟は良心の呵責に耐え切れず、マリファナにおぼれ、
厚生施設と実社会を行ったりきたりするようになってしまいます。

ちょうどそのころ起きた旧ソヴィエトの崩壊という出来事は、
ウクライナ出身の彼にとっては、最高のチャンス到来でした。

彼は旧ソ連軍の将軍だった叔父と組んで、多くの武器を、
恐怖政治により国を支配しているリベリアの将軍に販売したのです。
かねてより気に入っていたモデルのエヴァも手の込んだアプローチで口説き落とし妻とします。
金はその力を発揮し始めました。

智慧・慈悲・力=イエス・マリア・サタン

この映画においても、智慧・慈悲・力(イエス・マリア・サタン)の三位一体が語られています。
力(サタン)はリベリアの大統領とその息子です。
暴虐なリベリアの大統領は、部族間の対立を力によって支配しようと考えています。

大統領とその息子は、力(武力=恐怖)による支配が有効であることを信じ、
よりいっそう凶暴な振る舞いをします。
サタン(悪魔)の役割を演じているのです。

慈悲(マリア)は麻薬におぼれる彼の弟と、インターポールの刑事がその役を演じています。
ユーリーの弟はリベリアの大統領に武器を売ろうとしている最中、難民キャンプでの虐殺を見て、
武器の引渡しを拒否し、武器が満載しているトラックを爆破してしまいます。
彼らの争いにかかわってしまった弟は、彼らの銃によって殺されてしまいます。

同じく慈悲役のインターポールの刑事は、法律という正義によってユーリーを逮捕します。
ところが、逮捕されたユーリーは刑事につぶやきます。

「本当の悪は、組織の頂点・アメリカ大統領だ!!
お前にはそれが分かっていない。(智慧の欠如=無明)
俺を必要としている誰かがいるし、俺が死んでも誰かが俺の代わりをするだろう。」

人類の歴史は争いの歴史。
意思があればそれを貫こうとする力が必要になります。
力の象徴が武器なのです。

現実とは何だろう?

武器商人で有名なのは、サミュエル・カミングス(アメリカ)・アドナン・カショーギ(サウジアラビア)だが、
最近ではビクトル・バット(タジキスタン)、モンゼル・アルカサール(シリア)、
サルキス・ソガナリアン(トルコ)などである。
主人公のユーリーのモデルも彼らであるだろう。

戦争経済は政治家と結びつき、隠れた大きな存在となってしまっている。
国連の安保理事国(アメリカ・イギリス・フランス・中国・ロシア)が
最大の武器輸出国であるのは偶然なのだろうか?

ダイアナ妃の事故死も暗殺と見る見方がある。
2005年暮れ、チャールズ国王が警察当局の尋問を受けたニュースが流れた。
彼女の恋人とその父親の職業は何だったのだろうか?

面白かったのは、インターポールの刑事役が国内の法律を基準とし、善悪を基準に生きているのに、
主人公ユーリーは国家の裏を知り尽くし、善悪の基準を超えてしまっていることなのだ。
法律では裁けない国家の犯罪は、誰が裁くのだろうか?

ダークサイドに落ちたアナキン・スカイウォーカーを髣髴とさせる存在が、
武器商人ユーリー・オルコフなのだ。

監督は「アメリカでの資金調達は、イラク戦争勃発の一週間前に脚本が提出されたというタイミングによって、
困難なものになった。」と述べている。

カナダのライオンズゲート(映画:華氏911の配給元)が名乗りを上げ、やっと上映にこぎつけたそうです。
一見の価値ある映画です。