空海の道
東大寺---久米寺---吉野・金峰山寺---天河・大弁財天---高野山

深夜バス・青春ドリーム号は東京駅を出発JR奈良に向かう。
窓を打つ雨音に目が覚める、豪雨の中バスは一路いにしえの都に向かう。

早朝、奈良駅前のレストランで現地参加の2名と出会い、総勢11名が出揃う。
空海は奈良仏教と親しく、華厳経は10番目において評価していた。
煙雨のそぼ降る中・・・その華厳経を守っている東大寺を拝観する。

       

華厳経のメインテーマは、大仏の座している蓮の華と・・大仏の関係だ。
蓮の花の中にはまた蓮の花が描かれ・・一即一切(時間空間)重々無尽の関係が表現されている。
現在の科学がこのことを発見し・・畳み込みの原理として注目されている。

もう一つのテーマが、善財童子の修行の物語だ。
53人の善智識と出会うことにより・・成長し覚りを得るという物語は・・・
一般に普及するために「すごろく」という方便に落とし込まれ、
東海道五十三次すごろくとして人々になじみを得た。

この考え方は「マルセイユタロット・マンダラ」の中にも適用されている。
愚者の旅は・・・成長のために必要な・・・冒険の旅なのだ。
チルチルとミチルが、幸せの青い鳥を求めて・・・森に行かなければならなかったように・・・!!

そして私たち・・11人も・・・何かを求めて・・霞漂う奈良の山の中に・・・修行の旅に来ているのだった。


東大寺から街中を抜け・・・久米寺に。
カーナビの女性の声はわれわれを導いてくれる。
街中にある久米寺は、静かなたたずまいで我われを迎えてくれた。

空中浮遊をしていると中に・・・川で水浴びをしている女性を見て・・・
川に落ちてしまったという久米仙人の髭や歯を使った仏像はいかにも人間的で
「いや〜・・この人好きですね〜!!」と語ってたお肌ぴちぴちの・・78歳のTさん・・
自分のことを重ね合わせていたようだ。
何しろ彼は・・気功の修業体験が長いから・・空中浮遊して落ちたことがあるかもしれない〜!!

     


吉野の大峰山は、駅前から九十九折の坂道を一気に登りつめる。
参道を駐車場を求めて金峰山寺前に向かい、正面の食堂に車を置き昼食。
彩の美しい食事を堪能し・・・本堂に向かう。

修験の山は煙たなびくモノトーンの山に囲まれていた。
堂々とした本堂は三対の青黒い「金剛蔵王権現」を秘蔵している。

静かな本堂にて「般若心経」を合掌しながら・・天井の高さに圧倒され・・・
その強大さをイメージしていた。

三台の車は「宝珠号」「蓮華号」「金剛号」と名づけられ・・勇敢な金剛号が先達になって・・
奈良の山の中に向かう。


天河に向けての道はまさに修行の道だ。
役の行者が・・赤鬼青鬼を連れて駆け抜けた道でもある。

金剛号は一目散に駆け抜けていくため・・後続車が追いつかない。
性格の違う運転者と・・・同乗者のせいなのだろう。
「お〜い、少しは後ろのことを見ろよ!!」
追走しながらふと言葉を漏らしている私がいた。
一番成熟した蓮華号が・・最後を固める。

でも「まんだらや」のメンバーは「みんな違ってみんな良い=マンダラの思想」なので個性の強い・・・
他者を気にしない人(自分中心?)が多い。
そう・・・リスクは自分が取る・・その勇気が修行者には必要だ。

迷いながらもナビのお姉さん(観音様?)に導かれ・・・人里はなれた天河神社に到着した。
人もいないし・・社務所にも人の気配がない。
拝殿に上り五十鈴の鐘を鳴らす。
祓いコトバで清められる。

良く見ると・・・奥の居間に白服の女性がいる。
記念の五十鈴を求め天河をあとにする。

   

高野山はもっと山奥に向かう・・・どこまで続くのこの道は・・・川の道を離れ・・・九十九折を登り・・・
同じ山をぐるぐる廻りながら・・・不安が押し寄せる・・・リングワンデリング・・・しているのじゃないか?と

すると対向車が来る。
聞くと道を進めば高野山だという。

オー・・・空海が高野山を求めて山を登っているときに会う猟師・・・実は狩場明神・・・も
あんな人だったのではないだろうか?
偶然はないはずだ。

明神様のお導きにより自信を取り戻し・・・山道を進むとまもなく山上伽藍の町・・・高野山に到着した。

   

明日の用意のため・・・法衣店に立ち寄り・・・宿の常喜院に向かう。
気づくと雨は止んでいた。


寺の朝は早い。
標高900メートル、凛と張り詰める空気の中、まだ薄暗いころ布団を抜け出し・・・本堂に向かう。
5年前に修行のため通った廊下だ。

本堂に入り住職の到来を待つ。
住職に本堂の中で読経することを進められ・・・皆とは別に僧衣で座す。
久しぶりの理趣経の唱輪に心が躍る。
マントラハイになったのだ。

昨日の雨がウソのように好天となった。

10時の得度まで伽藍参拝に出かける。
中門、金堂、経堂、大社、西塔、御影堂、大塔、不動堂、東塔・・・懐かしい伽藍を廻る。

     


常喜院に戻ると得度の両者は丁子湯に入り、その後不動堂前で、緊張し正座で熱心にマントラを唱えていた。
「オン・シャレイ・ソレイ・ソンデイソワカ〜」「オン・シャレイ・ソレイソンデイ・ソワカ〜」

まもなく住職がおいでになり儀式は厳かに始まった。
厳かに得度の文を住職が唱え上げる。
白衣の二人が三禮・・・住職の前ににじり寄り、かみそりと散杖を受ける。

別の間に移り、髪の毛を少しだけ切って、黒い服を着て現れる。
次に折り紙(得度の証明書)を受け取り衣の中に挟みこむ。
袈裟を受け取り御付の僧に着させてもらう。

緊張の儀式は終わり記念撮影だ。
二人とも緊張に青ざめている。
証明人の8人も参加して全体の記念写真。

   

引きつる足元で二名とも部屋へ戻ると・・・どた〜ん。
緊張が解けて顔がほころぶ。


すぐに空海がまだ住んでいるという奥の院へ参拝に向かう。
中の橋から奥の院の杉並木は昼でも薄暗い。
その薄暗さが明るくなると奥の院が見え始める。

     

裏手に回り、線香のたなびく中、全員で般若心経を唱える。
心なしか得度の二名の声に張りがある。

     

水向所で地蔵さんに水をかけ、おのおの記念のスタンプを押してもらう。


常喜院に戻り解散し、自由行動となる。
蜘蛛の子を散らすように消えてしまい、私はゆっくりと遅い昼食をとる。
そして密教関係の書籍が豊富にある行きつけの本屋で時間をつぶす。

3時の受戒に参加した方はその荘厳さに感心していた。
「500円であの儀式を受けられるなんて〜!!」


時間も詰まっていたので早々に寺を後にする。
高野山を駆け下りていると・・・自転車を押して坂道を登ってくる「好々爺のおじいさん」に出会った。
しかしそれから幾ら行っても平らな道には出ない。

あの人はなぜケーブルで行かずに・・・自転車を押しているのだろう。
自転車が役に立つような場所はほとんどない高野山なのに。

後続の車もこのおじいさんを見かけ不思議に思ったが・・・やはりこの方も・・・狩場明神なのかもしれない。

3時間半の道のりで近鉄奈良の駅に着く。
近鉄の電車の中では、後続車の人々と話に夢中になり1時間はあっという間に過ぎてしまった。

近鉄線が京都に着くころ、真横に東寺がライトを浴びてたたずんでいた。
三々五々新幹線乗り帰宅する。


空海の道を駆け抜けた2日間、皆様お疲れ様でした。
特に運転手の皆様ありがとうございました。
また最年長のTさん、青春ドリーム号・夜行バスお疲れ様でした。
新企画のイベントでも、皆様のご参加を期待しております。
ありがとうございました。

得度した翠明さんの得度レポート
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