1日目の行程は5時間。ゆっくり歩いている内に今日の宿泊地ディラ・プク4980mに着きました。
ここまで来るとカイラスは雪の積もった南面ではなく、男性的な北面の岩峰を見せ始めます。
ここまではどうやら高度順応にも成功し、頭痛や睡眠不足に苦しむ方もいません。
しかし明日は最後の登り標高650mが待ち構えています。
そしてその日の内に急坂を標高800m下らなければなりません。
日本の山とは違い現在でも三分の二ほどの酸素量です。
パルスオキシメーターの計測でも日本出発時の20パーセントダウンになっているのです。
不安を胸に抱えながら、夕焼けのカイラス北面に五体投地で祈念しました。
夕食は男性の部屋に集まりシェルパが紅茶と「おじや」を持ってきました。
フリカケ、胡麻、塩昆布などをかけながら食事を始めるとFさんが
「私、駄目みたい〜」と不調を訴えます。
咳と熱で風邪の症状か高山病かわかりません。
心配していると横からガイドのプンチョが、「おれも高山病だ!!明日降りる」と言うのです。
ガイドのチベット人が高山病?!あっけに取られましたが、しかたがありません。
ガイドには彼女の案内を頼んで翌日は六人のメンバーとシェルパ三人で峠を越えることになりました。
高山病対策は多くの水を飲むこと。この日もその結果として夜、トイレ通いが続きました。
寝つかれないでうとうとしていると、夢を見ました。
赤く燃える情景の中で、逃げ惑う人々の群れ。地球が炎に包まれた滅亡の夢でした。
何度も夢にうなされ、そのたびにトイレです。
チベットのすぐ南、インドとパキスタンはいま、臨戦体制を迎え、
いつ核兵器を使用するか分かりません。
そのような思いがこのような夢を見させたのでしょうか?