ネパールのフィールドワーク・1
チベット僧:ゲシェー・シェーラブ師



2012年5月、5泊6日のネパール旅行に行ってきました。

今回の第一の目的は先日、伝授会を開催してくださった
チベット仏教のゲシェー・シェーラブさんに会うことです。

ダライ・ラマのゲルク派に所属する彼は、コパン寺院の代表として世界中を飛び回っています。
日本の講演の後はマレーシアに5月4日まで滞在して仏教の講座を行っていました。

空港から30分のボーダナート寺院の手前から悪路を15分上ると
山の上のコパン寺院にたどり着きます。

入り口には昔からの友人の僧侶S君が待っていました。
偶然ネパールに来ていたのです。

       

彼は8年前にカーラチャクラの儀式、祈祷師を訪ねてツアー、カイラス巡礼などを
私と共に行っています。

ゲシェーの案内で山の上のチベット寺院を見て回りました。
ここの設備はクーラーつきの部屋もあり、欧米人の滞在に向くように高級に作られています。
当日も多くの欧米人の若者たちが講座を受講していました。

講座の受講後には屋外の涼しいところで「問答=フリートーキング」の時間があり、
リラックスしながら理解の有無を確かめ合います。

       

ここで12年前に私も、なれない英語で仏教論理を語り合ったことが思い出されました。
その苦労のおかげで、英語で仏教を説明することが出来るようになったのだと思い出されました。

翌々日は、彼のご招待で日本料理店でディナーをご馳走になりました。
密教の話に花が咲き、お互いに印の交換伝授などをしました。
欧米人並みのジョークを交えたフランクな話に爆笑し通しでした。

       


ネパール旅行が始めてのF君は、すっかり気に入りゲシェーに秋の講座受講を伝えました。
世界中に向かって開かれた「コパン寺院」には、これからも多くの人々が仏教を学びに来ることになるでしょう。


ボーダナート(チベット仏教)の目玉寺



コパン寺院から山を降りるとボーダ・ナートというチベット寺院があります。
チベットに潜入した河口慧海がここでしばらく過ごした場所です。

ストゥーパの周辺には仏具の店が立ち並んでいます。
改良服とはいえ僧衣で参拝していると、お参りの人々も私たちに向かって合掌してくれます。

F君は得度で高野山奥の院を歩いたとき以来の体験です。
緊張して、人々の視線を受け止めました。

    

とはいえ彼も盛鶴延先生の気功師養成コースの生徒です。
気の強い場所に行くと、自然と手のひらが伸びて、気を図って・・・味わってしまいます。

ついには摩尼車を回しながら祈っているチベット僧のとなりに座り、般若心経を唱え始めました。


     

このボーダナートには、親しくしていただいているニンマ派のワンゴン・リンポチェ(ファット・ラマ)がいらっしゃいます。
突然訪れたのですが留守中でした。

そこで修行中の子供の僧としばしの交流をして旅を続けました。


     


ネワール仏教:ダクチン・カーリー



ネパール到着の翌日は、火曜日です。
毎週火曜日と土曜日はシヴァ神様の奥様、カーリー女神に捧げる血の生贄の儀式を執行しています。

幸いにも、カーリー女神は動物の血だけが好きで、肉は食べません。
残した肉は、聖化(サクリファイ)された肉となりますので、家に持ち帰ることができます。

逆に「肉」が好きだったら困ってしまったことでしょう!?
     


中学校の講演で、生徒たちが一番興味を持ったのがこの話でした。

「『いただきます!!』といって食事しますが、何をいただいているのでしょう?」

わたしが質問しました。

「ダクチン・カーリーでは、鳥や山羊を殺して、肉にして持ち帰ります。
 そのときに血が出ている様子を考えることができますか?
 私たちは、その動物たちの「命を」いただいて生きているのです。

「いやでも彼らを殺さないと、生きていけないのです。
 彼らが『ヒィー』と鳴いて殺される様子が、想像つきますか?」

「彼らの命をいただいて生きる価値のある・・・生き方を、したいものですね。」



ほかの動物の命をいただいて生きているというのは、カーリー女神の要素がわたしたちの中にあるということです。

あるネパール人の生徒は「私たちは戦争で、人間同士がこのように殺しあっているのですね。」と語ってくれました。

        


さらけ出す文化のネパールと、隠してしまう文化の日本。

命を捧げてくれた生き物たちの犠牲を忘れないで、生きて生きたいものです。


チベット仏教:パドマサンバヴァの奇跡に祈る



ダクチン・カーリーの帰路にパルピンのチベット寺院に寄りました。
ここはインドからチベット密教を請来した「パドマ・サンバヴァ(蓮華生)」の修行した場所です。

小高い丘の上には洞窟があり、その周辺がタルチョの五色旗により、聖地として祀られています。

洞窟に入って心経一巻を唱えました。内部は凄いバイブレーションです。
入り口にはパドマサンバヴァの霊力で手形になった岩の浮き彫りがあります。

祈りを終えて洞窟を出て見ると、チベット僧のとなりに、
息を止めるような東洋系の観音さま(女性)が心を込めて祈っていました。

ここではトピー帽と黒いベストの民族衣装に身を包んだ老人が、
額をご神体である神の木につけて祈っていました。

ネワール仏教:マチェンドラナート



カトマンドゥの町に戻り、マチェンドラナートのお祭で賑わうパタンに行きました。

年に一回のお祭りで賑わっています。
横木に車が付けられ、立ち上げた樹には神様が付けられ、山車により町を練り歩きます

日本の諏訪大社でも、同じように山から御神木を運んできてお祭りします。
アジアの文化のこのような共通性はなぜなのでしょうか?

      


マンダラ(タンカ)に秘密を隠した?



ネパールには仏教徒であるネワール人と、ヒンドゥー教の各民族の人々が混在しています。

またそこに山岳民族のチベット仏教の人々が住んでいますので、日本の神仏習合よりも混在度が多いように思えます。
真言宗の空海は「マンダラとは密教の教えの秘密を、わからない人に説くために絵にした。」と語っています。

      

今回も友人の絵師、ネワール人のロク・チェトラカールさんを訪問しました。
私は彼との多くのお話の中から、マンダラの秘密を解かずにはいられなくなり真言宗の阿闍梨になったのです。



カーラチャクラ・マンダラ図


釈迦成道図