アナキン・スカイウォーカーは
なぜダークサイドに堕ちたのか!!
スターウォーズ・エピソード・(シスの復讐)で主人公・アナキン・スカイウォーカーは
ダークサイドに堕ちてしまいます。
正義の剣士、ジェダイの騎士がなぜダークサイドに堕ちてしまったのでしょう。

愛する恋人パドメ・アミダラの死を予兆したアナキン・スカイウォーカーは
死を避ける方法を知っている、銀河共和国元老院の議長パルパティーン(実はシスの暗黒卿)の言葉を信じます。
彼らの会話を聞いてみましょう。

アナキン 「ジェダイは自分たちの力をよいことのために使います。」
議長 「よいというのは視点の問題だよ。」
「シスはジェダイ同様、正義と安定を信じている。」
アナキン 「シスは邪悪だからです。」
議長 「それもジェダイの視点だよ。われわれは邪悪という言葉を、
 自分を脅かすもののために使う。」
−中略―
アナキン 「ジェダイが信じているのは正義と平和です。」
議長 「安定と平和、その二つに違いがあるかね?」
−中略−
議長 「ジェダイとシスの本当の違いは、おそらく位置づけにある。
 ジェダイは理解を通じて力を手にする。
 ところがシスは力を通じて理解を手にするのだ。
 シスのほうが昔からジェダイよりも強いのはそのためなのだよ。」
選民意識の上昇の道

アナキンはここで今まで、二元論の思考法で善悪を決めてきたことを知ります。
そして力による支配をすることで、安定を得ることを知ります。
それは自分が支配の中心存在となる「ダース・ヴェイダー」になることなのです。


彼はそれまでジェダイの未来を担うものと言われてきました。
過去のほめ言葉により植えつけられた選民意識は、排他性を生み、
多くの仲間の存在よりも愛する恋人、パドメ・アミダラを選ぶのです。

大デュマの小説・三銃士には「一人は皆のために!!」「皆は一人のために!!」
が騎士道の合言葉になっています。
アナキンはこの言葉を忘れてしまったのです。

排他性による慈悲の喪失

プラトンの非二元論的伝統では、多者(われわれ)が一者(神)を求める行為を 智慧 と呼び、
一者がすべてのものに流入していることを知ることを 慈悲 と呼びます。

この上昇の世界は『多者の背後にあるのが一者だと知ることです。』
下降の世界は『一者はそれぞれの存在に平等に現れているのであり、万物は平等。』

これをインドのヴェーダンタ哲学では上昇の道を
『この世界は幻影であり、ブラフマンのみがリアルである。』
下降の道を『すべてはブラフマンの顕現である。』と言います。

同じことを仏教では上昇の道『色即是空=われは大日如来であり』
下降の道『空即是色=大日如来はすべてのものに現れている。』の円環を描いているのです。
この円環が完成することで〈力〉が出てくるのです。

上昇の道だけを歩むことが多者を排除する智慧の喪失につながります。
自分たちが選ばれた者(選民)であると、選ばれなかった者を排除しようとするのです。
共通の神を信じる人々(宗教団体)が排他性を持ちやすいのはこのためです。
アナキンはこの落とし穴に捕まってしまったのです。

独占愛による智慧の喪失

パドメに対する愛はその盲目的な衝動を強化してしまいました。
仏教では愛を渇愛(トリシュナー)と呼び喉の渇いた人が水を求めるような盲目的な衝動と考え、
煩悩として位置づけています。

避けられない死を、避けようとする強い衝動になってしまうのです。

選民意識の上昇の道

スターウォーズの構成はマトリックス(胎蔵界)の三位一体になっています
マトリックスの三位一体とは、智慧・慈悲・力の三位一体です。

如来・菩薩・明王の三位一体は、如来は智慧(宝珠=マニ)、
菩薩は慈悲(蓮の花=パドメ)
明王は力(金剛杵=バジュラ)なのです。

仏教の物語の中ではアミダ如来の智慧、観音菩薩の慈悲、不動明王の力になります。
智慧・慈悲・力のバランスこそが大切なのです。

スターウォーズの構成ではオビ=ワンが智慧(如来)、パドメ・アミダラが慈悲(菩薩)
アナキン・スカイウォーカーが力(明王)となります。
スカイウォーカーの恋人の名前が『パドメ・アミダラ』であるのは偶然なのでしょうか?

力の道具・ライトセーバー

力(フォース)が使えるのはジェダイの騎士です。
光刃(ライトセーバー)は密教の道具、金剛杵(バジュラ・ドルジェ)がモデルとなっています。

金剛杵は英語でサンダーボルトと呼びます。雷なのです。
金剛杵は気(フォース)を集める増幅器であり、気功や密教の修行者でなければ使用できないのです。

マトリックスの三位一体

映画マトリックスでは、ネオが智慧の象徴(如来)、トリニティが慈悲の象徴(観音菩薩)、
モーフィアスが力の象徴(不動明王)です。
観音菩薩のトリニティは男性性と女性性が分けられない存在です。
日本での観音菩薩も両性具有なのです。

スターウォーズではユング派の解釈に従い、オビ=ワンが老賢人(智慧=内在する指導者)、
パドメがアニマ(慈悲=理想の母親の姿)、アナキンがアニムス(力=理想の剣士)となるのかもしれません。

密教の作法とダークサイド

『理解を通じて力を手にする』とは作法を学ぶことです。
伝統の作法を持たずに恐れや怒りを奔放に解き放ったまま、エネルギーの潮流に乗ったとき、
人はエネルギーの潮流のダークサイドに共振し周囲に災害をもたらすことになるのです。

密教の作法では、上昇の道を求めるときには、高慢を避ける懺悔と五体投地を繰り返します。
そして下降の道を求めるときは、自他不二の修行で『他人と自分は同じである』と繰り返すのです。

人類の歴史が、ダークサイドに流れていった権力者たちの歴史なのですから。